ランクセス、2024年第3四半期の業績を発表 ～販売量の増加、稼働率の向上、コスト削減により収益が大幅に増加～

ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス（LANXESS）は、2024年度第3四半期の業績を発表しました。特別項目を除いたEBITDAは前年同期比45.4%増の1億7300万ユーロ（前年同期：1億1900万ユーロ）となりました。増益の主な要因は、販売量の増加、稼働率の向上、及び「FORWARD！」アクションプランによるコスト削減です。

「厳しい経済情勢が続き、化学業界を取り巻く競争環境も厳しさを増していますが、ランクセスは着実に歩みを進めています。世界的な需要低迷に対処するための我々の迅速な施策が功を奏しています。我々の製造拠点の稼働率は向上しており、『FORWARD！』アクションプランによってコスト状況は大幅に改善されました。そのため、通期の業績については、包括的な需要回復の見通しは立っていないものの、予測どおりの見込みです」とランクセスCEOであるマティアス・ツァハトは述べています。

グループ全体の売上高は前年同期比でほぼ横ばいとなる15億9800万ユーロ（前年同期：16億100万ユーロ）でした。ほぼ全てのビジネスユニットにおいて販売量が増加した一方、原材料及びエネルギーコストの低下により販売価格は低下しました。

第3四半期の特別項目を除いたEBITDAマージンは10.8％（前年同期は7.4％）となりました。継続事業による当期純利益は100万ユーロのプラスとなりました。前年同期の継続事業からの純利益はマイナス1億3,100万ユーロでした。

ランクセスは、今年度通期（2024年度）の業績を、引き続き、前年度のEBITDA（税引前利益）5億1,200万ユーロから10～20%の増益と見込んでいます。2024年度第4四半期のEBITDA（税引前利益）は、例年の季節的要因の影響により、やや鈍化すると見ています。

ウレタンシステム事業の売却
10月初旬、ランクセスは、ウレタンシステムズ事業を、日本のUBE株式会社に売却する契約を締結しました。同事業の評価額は4億6,000万ユーロで、ランクセスは、約5億ユーロの売却益を見込んでいます。ツァハトCEOは、次のように述べています。 「今期は、戦略的な進展もありました。ウレタンシステムズ事業の売却合意により、当社のポートフォリオに残る最後のポリマー事業を売却し、真の特殊化学品メーカーへの変革を完了することができます」と述べています。ランクセスは、売却で得た資金を負債の削減に充てる予定です。この取引は、引き続き関係当局の承認が必要となります。ランクセスは、2025年前半の取引完了を見込んでいます。

部門毎の事業展開
コンシューマープロテクション部門の第3四半期の売上高は、前年同期比で10.3%減少し、5億2100万ユーロ（前年同期：5億8100万ユーロ）となりました。特別項目を除いたEBITDAは前年同期比15.5%減の7,100万ユーロ（前年同期：8,400万ユーロ）となりました。引き続き、農薬業界の需要低迷により販売量が減少し、収益にもマイナスの影響を与えました。一方で、農薬業界以外の顧客との事業においては、好調な結果となりました。特別項目を除いたEBITDAマージンは13.6%（前年同期：14.5%）となりました。
スペシャリティアディティブス部門の売上高は、前年同期比でほぼ横ばいの5億5,000万ユーロ（前年同期：5億4900万ユーロ）となりました。特別項目を除いたEBITDAは、84.8%増の6,100万ユーロ（前年同期：3,300万ユーロ）となりました。稼働率の向上、「FORWARD！」アクションプランによるコスト削減が、業績に好影響を与えました。特別項目を除いたEBITDAマージンは、11.1%（前年同期：6.0%）に改善しました。
アドバンスト中間体部門では、第3四半期の売上高は、前年同期比12.9%増の4億300万ユーロ（前年同期：4億5,500万ユーロ）となりました。特別項目を除いたEBITDAは前年同期比126.7%増の6,800万ユーロ（前年同期：3,000万ユーロ）となりました。利益およびマージンは、販売数量の増加による製造拠点の稼働率の向上、及び「FORWARD！」アクションプランによるコスト削減からの好影響を受けました。特別項目を除いたEBITDAマージンは、14.9%（前年同期：7.4%）に改善しました。