ランクセス、「The Battery Show Europe 2024」でバッテリー生産の包括的なポートフォリオを発表
- 「The Battery Show Europe 2024」に出展
- リチウムイオン電池のバリューチェーン全体にわたる革新的な製品とソリューション
- 欧州のサプライチェーンの発展に向けたリン酸鉄リチウム(LFP)の前駆体
- 電解液の導電性塩の主要原料
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、6月18日から20日にドイツで行われた「The Battery Show Europe 2024」に出展し、エレクトロモビリティ分野におけるリチウムイオン電池とそのアプリケーションの生産に使われる幅広い製品を発表しました。これには、同分野のバリューチェーン全体にわたる主要な原材料とマテリアルソリューションが含まれます。ドイツ・シュトゥットガルトで開催されたこの展示会は、急成長するエレクトロモビリティ分野における最先端の材料、テクノロジー、生産プロセスを紹介する欧州最大の展示会です。
広範な製品ポートフォリオ
ランクセスのポートフォリオには、正極材料や電解液成分の原料、正極材料用の超高純度金属化合物の抽出や電池をリサイクルするためのイオン交換樹脂、高電圧用の冷媒や着色剤に加えて、電子電池部品を保護するためのキャスティング・コンパウンドがあります。また、その他の主要な製品分野としては難燃剤が挙げられ、高性能プラスチックや不燃性電解液に使用されることでバッテリーセルの安全性向上に貢献します。
サプライチェーンのシフト
欧州全域を管轄する欧州交通環境連盟(T&E)が行った最近の分析によると、サプライチェーンが中国から欧州にシフトすることにより、電池製造時のCO2排出量を37%削減できる可能性があります(https://www.transportenvironment.org/articles/european-made-batteries-could-be-60-less-carbon-intensive-than-chinese-analysis)。さらに、再生可能な資源由来の電力を使用することで最大60%の削減が可能です。そのため、欧州のバッテリーセルと電池部品の需要分を欧州域内で製造した場合、2030年までに推定1億3,300万トンのCO2を削減できることになります。
電池材料の地域サプライチェーンの発展を支援
ランクセスは欧州のバッテリーメーカーにとって持続可能で信頼できる原料メーカーであると自負しています。ランクセスのコーポレートデベロップメントでニュービジネスデベロップメントの責任者を務めるハリー・スマケ 博士は次のように述べています。「主要な原材料と前駆体の幅広いポートフォリオ、および欧州にある既存設備を活用し、ランクセスは地域のバリューチェーンの発展を支援することができます。プロセス開発における私たちの専門知識は、バッテリーリサイクルの領域で新たな分野を開拓することを可能にし、それによってセル製造と化学製品製造における持続可能性を積極的に推進することができます」
LFP正極材料用に酸化鉄とリン酸鉄をカスタマイズ
リン酸鉄リチウム(LFP)は、コバルトとニッケルを含む材料に代わる持続可能で費用対効果の高い正極活物質として、より広く使用されるようになっています。現在、LFPバッテリーはほぼ中国のみで生産されています。 そのため、欧米のOEMは、より自立的になること、および、現地由来の持続可能な材料で市場への供給を確保することを目的として、地域的なバリューチェーンを確立することに積極的に取り組んでいます。
現在、ランクセスは、限定された地域への依存を低減するためにLFP合成用にカスタマイズした前駆体を提供しています。この前駆体には、ランクセスが生産開始を予定している電池グレードの新しい酸化鉄およびリン酸鉄が含まれます。年間30万トンを超える生産能力を有するランクセスは世界有数の酸化鉄メーカーであり、ドイツやブラジルなどを拠点に大手生産者として事業を展開しています。「中国以外で製造される酸化鉄の大半はランクセスの生産拠点から来ています」無機顔料(IPG)ビジネスユニットでスペシャリティーズマーケットセグメントの責任者を務めるステファーノ・バルトルッチはこのように述べています。ランクセスは現在、「バイオキサイド®(Bayoxide®)」ブランドで実地試験済みの二つの電池グレード酸化鉄を提供しています。バイオキサイドは、純度、表面特性、結晶性、粒子サイズの点で、正極材料が最適な電気化学的特性を得られる方法で製造されます。IPGビジネスユニットはまた、LFP合成に使用されており、現在は限られた生産能力しかないリン酸鉄の生産者としての地位を確立していきます。
プラスチック部品用難燃剤
バッテリーモジュールやバッテリーハウジング、高電圧コネクター、充電インフラの分野のコンポーネント等の電気自動車用途で使用される高性能プラスチックには、特に効果的な難燃性が求められます。そのために、ランクセスは各種ポリマー用のリン系および臭素系難燃剤を数多く取り揃えています。
危険を示すオレンジ色のプラスチック
保守や組み立て作業を行う整備士や救助活動にあたる救急隊員に対する警告を促す安全対策として、電気自動車の高電圧部品にはシグナルカラーのオレンジ色が使用されています。このプラスチックは「バイプラスト®(BAYPLAST®)オレンジ TP LXS 51137」で着色されており、高温でも優れた色安定性を発揮します。
効果的なバッテリー冷却のための冷却液
電気自動車のバッテリーの急速充電には、かなりの熱量が発生します。この熱はその後の損傷を防ぐために放散する必要がありますが、バッテリーセルを冷却液に浸漬する直接冷却によって効果的に放散させることができます。ランクセスは、難燃性冷却液の専門知識を活用し、最適な製品を提供しています。例えば、リン酸エステルのような冷却液は、非導電性で高い難燃性を備えており、これは急速充電中も常に安全性を確保するための重要な特性といえます。
電解液調合および導電性塩の原料
レバークーゼンに拠点を置くランクセスの子会社であるサルティゴは、中国の広州天賜高新材料股份有限公司(天賜材料)と提携し、リチウムイオン電池用電解液調合物を製造しています。導電性塩と電解液の世界有数のメーカーである天賜材料は、欧州のセルメーカーにこれらの超高純度の調合物を供給しています。
電解液調合用のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)およびリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)などの導電性塩の製造には、無水フッ化水素酸、リン化合物、塩化チオニル、フルオロスルホン酸などの原料が必要です。ランクセスはこれらの主要なメーカーの一つであり、レバークーゼンの拠点での統合された製造ネットワークを利用して、欧州における持続可能なセル製造に向けた、現地での導電性塩の生産体制確立に貢献することができます。
レバチット樹脂によるバッテリーリサイクル
ランクセスの「レバチット®(Lewatit®)」ブランドのイオン交換樹脂はこれまで、電池グレードのニッケルとコバルトを抽出、精製するとともに、様々な種類のリチウム精鉱を精製する鉱石処理プロセスに長く使用されてきました。また、これらの樹脂はリチウムイオン電池のリサイクルという電池製造分野での新たな用途を開拓しています。「私たちは黒色の塊からリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンなどの電池グレードの金属を抽出するために使用できる選択性レバチット樹脂を生産しています。これらは正極材料として再利用することができます」と、ランクセスの液体高純化テクノロジーズビジネスユニット(LPT)のテクニカルマーケティングマネージャー、ダーク・スタインヒルバー 博士は述べています。
ランクセスの電気自動車関連製品ポートフォリオの詳細は、hhttps://lanxess.com/en/Products-and-Solutions/Focus-Topics/LANXESS-e-Mobilityでご確認いただけます。
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