イオン交換樹脂とは?

その原理と種類、再生方法、用途について

イオン交換樹脂の原理について、図解を用いて分かりやすく解説し、樹脂の種類とそれらの用途、再生方法についてもご紹介しています。

Contents

  1. イオン交換樹脂とは?
  2. イオン交換の原理
  3. イオン交換樹脂の種類
     ・ カチオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂)
     ・ アニオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)
     ・ キレート樹脂・選択性樹脂
  4. イオン交換樹脂の再生
  5. イオン交換樹脂の用途
  6. イオン交換樹脂レバチット®

LANXESSIon exchangers of the Business Unit LPT

1. イオン交換樹脂とは?

イオン交換樹脂とは、イオン交換基を持つ合成樹脂で、直径が0.3㎜~1.2㎜程度の真球の形をしています。

水道水などの水に含まれる不純物のイオンを取り、代わりにもともと樹脂が持っていたイオンを放つ「イオン交換」を行うことで、不純物を取り除き、純水を造ったり、溶液を精製することができます。

日常的な飲料水の軟化はもちろん、汚染物質の除去、工場廃水のリサイクルなど、水資源問題への対策のひとつとしても、世界中で幅広く活用されています。また、eモビリティの発展に欠かせない、金属イオンの回収にも活用されています。

イオン交換の原理 The principle of ion exchange 
When tap water containing impurity ions is passed through a resin comprising a mixture of cation exchange resin and anion exchange resin, as shown in Figure 1, cations such as calcium, magnesium, potassium and sodium react with the cation exchange resin, whilst anions such as chloride, sulphate and nitrate react with the anion exchange resin, thereby removing the impurity ions. The H⁺ and OH⁻ ions released during ion exchange combine to form H₂O (water), meaning no other substances remain or are generated, and pure water is produced.

           図1:イオン交換の原理                                

2. イオン交換の原理

イオン交換樹脂には、陽イオン(カチオン)を交換するカチオン交換樹脂と、陰イオン(アニオン)を交換するアニオン交換樹脂があります。除去したいイオンの種類や、その目的に応じて使い分けますが、水道水の不純物イオンを取り除いて純水を造る場合、その両方を使用する必要があります。

カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した樹脂に、不純物イオンを含む水道水を通すと、図1の通り、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの陽イオンはカチオン交換樹脂に、塩化物、硫酸、硝酸などの陰イオンはアニオン交換樹脂と反応することで、不純物イオンが取り除かれます。イオン交換の際に放たれたH⁺とOH⁻は、結合するとH2O(水)となるため、他の物質が残留・発生することはなく、純水が製造されます。

図1:イオン交換の原理

<水道水に含まれる不純物イオン>
カルシウムイオン(Ca2⁺)、マグネシウムイオン(Mg2⁺)、カリウムイオン(K⁺)、ナトリウムイオン(Na⁺)、塩化物イオン(Cl⁻)、硫酸イオン(SO₄²⁻)、硝酸イオン(NO3⁻)など

3. イオン交換樹脂の種類

前述の通り、イオン交換樹脂には陽イオンを交換するカチオン交換樹脂と陰イオンを交換するアニオン交換樹脂があります。また、それらに加え、金属イオンと錯体を形成するキレート樹脂や特定のイオンと強く結合する選択性樹脂があります。

カチオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂)

スルホ基-SO3Hを交換基として持つカチオン交換樹脂は、溶液中で固定イオン-SO3⁻と対イオンH⁺に解離した水素イオン形(H形)となります。水道水などに含まれる、カルシウム(Ca2⁺)、マグネシウム(Mg2⁺)、カリウム(K⁺)、ナトリウム(Na⁺)などの陽イオンと交換し、代わりにもともと持っていたH⁺を水中に放ちます。

アニオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)

トリメチルアンモニウム基-N(CH3) 3OHを交換基として持つアニオン交換樹脂は、溶液中で固定イオンと対イオンに解離して水酸化物イオン形(OH形)となります。そして、水中の塩化物(Cl⁻)や硫酸(SO₄²⁻)、硝酸(NO3⁻)などの陰イオンと交換し、代わりにもともと持っていたOH⁻を放ちます。

キレート樹脂・選択性樹脂

キレート樹脂は、特定の金属イオンに対する選択性が高く、キレート(錯体)を形成して金属イオンを除去または回収することができます。キレートを形成する官能基は、電子供与元素を2個以上含むN-O系、S-N系、N-N系、O-O系、P-N系などがありますが、イミノジ酢酸型〔-N(CH2COO-)2〕やアミノリン酸型〔-NHCH2PO32-〕などが代表的です。

特定のイオンと強く結びつくことができる交換基を持つ選択性樹脂は、水中の不純物イオンの中から特定のイオンを選択的に除去することができます。選択性樹脂には、硝酸性窒素除去用などがあります。

Image describes regeneration of cation exchange resins
       図2:カチオン交換樹脂 (陽イオン交換樹脂) の再生

4. イオン交換樹脂の再生

イオン交換樹脂に不純物イオンを含む水を流し続けると、交換基の多くが交換済みとなり、それ以上イオン交換ができなくなります。そこで、酸やアルカリを流して不純物イオンを再び放すことで、イオン交換を行う前の状態に戻すことができます。これを再生と言います。

不純物イオン形となったカチオン交換樹脂に塩酸(HCl)を流すと、H⁺と不純物イオンの交換が行われ、再生されます。

Image describe regeneration of anion exchange resins
        図3:アニオン交換樹脂 (陰イオン交換樹脂) の再生
図2:カチオン交換樹脂 (陽イオン交換樹脂) の再生

また、アニオン交換樹脂は、水酸化ナトリウム(NaOH)を流すことでOH⁻と不純物イオンの交換が行われ、再生されます。

図3:アニオン交換樹脂 (陰イオン交換樹脂) の再生


ASDF - stock.adobe.comYoung man pours clean water into a glass

5. イオン交換樹脂の用途

イオン交換樹脂の用途として、水を浄化することが広く知られていますが、水処理に限らず、下記のような様々な産業で、幅広い用途に使用されています。

主な産業と用途例

  • 食品・飲料
    – 砂糖の軟化、脱色、脱塩
    – デンプン糖の脱色、脱塩
    – ゼラチンやコラーゲンの加水分解物の脱塩
    – フルーツジュースの脱色、脱塩、苦み成分の除去など
  • 化学および石油化学工業
    – 塩水精製
    – バイオディーゼルの製造
    – ビスフェノールA(BPA)の合成
    – エステル化
    – 空気や排気ガスなどからの二酸化炭素(CO2)除去
Kadmy - stock.adobe.comMining excavator loading granite or ore into dump truck
  • 鉱業・治金産業
    – バッテリーメタルの回収
    – リチウムなど電気自動車向け電池材料の精製
  • 製薬およびバイオテクノロジー業界
    – ヘパリンやコンドロイチンの抽出、精製
    – 酵素固定
    – アミノ酸、抗生物質、ビタミンなどの効果的な分離や精製
  • 電力産業
    – 補給水や復水の脱塩
    – 核分裂生成物、腐食生成物の除去
©naka - stock.adobe.comSilicon wafer
  • 半導体および電子産業
    – 超純水(UPW)の製造
    – 過酸化水素の分解
  • 水処理・環境
    – 飲料水の処理
    – PFAS、過塩素酸塩などの汚染物質の除去
    – 工場廃水の処理と廃水のリサイクル

6. イオン交換樹脂レバチット®

ランクセスは、水処理および溶液処理のための製品・ソリューションを提供する、世界有数のイオン交換樹脂メーカーです。80年以上にわたる実績とノウハウを駆使し、多様な産業向けに機能性の高いイオン交換樹脂を開発し、用途に応じた厳しい要件に対応します。また、最近では、再生可能原料を90%以上使用したイオン交換樹脂の新グレード「レバチット®スコープブルー」を発表。家庭用・事業向けの持続可能な水処理に貢献しています。

 

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