
LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリー材料
LFPバッテリーについて:
LFP(リン酸鉄リチウムイオン:Lithium Iron Phosphate)バッテリーは、主に電気自動車(EV)や定置用蓄電システムに採用されるリチウムイオン電池の一種です。従来の三元系リチウムイオン電池で使用されるニッケル・マンガン・コバルト(NMC)やニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)に対し、正極活物質にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使用することが最大の特長です。
近年、自動車メーカー各社は量産EVへのLFP採用を加速しており、LFP正極材の需要は世界的に拡大しています。LFPは高価なレアメタルを必要としないため、バッテリーコスト低減やサプライチェーンの安定化に貢献する次世代の正極材料として注目されています。
最近の市場調査では、LFP正極材を搭載した電気自動車は、2030年までに欧米市場で20~30%のシェアを占めると予測するものもあります。
LFPバッテリーの構造と特長:
LFPバッテリーは、「正極」「負極」「電解液」「セパレーター」で構成されます。
正極活物質であるリン酸鉄リチウム(LiFePO4)は、鉄(Fe)、リン(P)、酸素(O)、リチウム(Li)から成るオリビン構造を持ちます。この結晶構造は非常に安定しており、充放電を繰り返しても構造が崩れにくいため、高い安全性と長寿命を実現します。
また、LFPは過充電や高温環境下でも酸素放出が起こりにくく、熱暴走リスクを低減できることから、安全性が重視されるEVや大型蓄電池向け材料として高く評価されています。
LFPバッテリーの主なメリット:
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高い安全性
LFP正極材は化学的・熱的安定性に優れ、三元系バッテリーと比較して発火や熱暴走のリスクを低減できます。
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長寿命
安定した結晶構造により充放電サイクルに強く、長期間の運用が求められるEVや定置型蓄電池に適しています。
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低コスト
LFPはニッケルやコバルトなどの高価なレアメタルを使用せず、鉄やリンといった比較的豊富な資源を活用します。そのため、正極材料コストの削減に寄与し、バッテリー全体の製造コスト低減を実現します。
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供給安定性
資源偏在リスクの低減や地域サプライチェーン構築への期待から、LFP正極材は世界各地で生産能力増強が進んでいます。
LFPバッテリーの課題:
一方で、LFPバッテリーには課題もあります。代表的な課題は、三元系バッテリーと比較した場合のエネルギー密度の低さです。同じ重量・体積あたりの蓄電容量が小さいため、EVでは航続距離確保のためにパックサイズが大きくなる場合があります。また、低温環境下ではリチウムイオンの移動速度が低下し、出力や充電性能が低下する傾向があります。このため、BMS(バッテリーマネジメントシステム)による温度管理や材料改良に関する研究開発が進められています。
ランクセスの提供するLFPバッテリー材料:
欧州で最大級の酸化鉄メーカーであるランクセスは、LFPバッテリーに用いる電池グレードの酸化鉄「バイオキサイド(Byoxide®)」を新たに開発し提供を開始しました。さらに、LFPの前駆体としてのリン酸鉄も提供する予定です。
ランクセスの提供する LFP バッテリー材料は、以下の点において安心してご使用いただけます。
✓ FEOC コンプライアンス(米国の懸念される外国の事業体規制に対応)した製品を、
ドイツおよびブラジルで生産
✓ ライフサイクルアセスメント(LCA)データに裏付けられた持続可能な原材料
✓ 優れた技術力と確立された生産ネットワーク
ランクセスの製品ブランド
- バイオキサイド(Bayoxide®) 酸化鉄バッテリーグレード
- フォスカム(PhosCAM®) リン酸鉄バッテリーグレード (製造予定)
製造方法:
現在、LFP正極材およびそれに対応するバッテリーは、中国を中心に生産されています。
中国で製造されるLFPバッテリーは、主にLFP合成において硫酸鉄を原料とし、これをリン酸と反応させてリン酸鉄とし、さらに炭酸リチウムと反応させて製造されています。この製造工程においては、アンモニウム硫酸塩や硫酸ナトリウムなどを含む高塩分濃度の排水が発生し、これを分離するには極めて多大な労力と膨大なエネルギー消費を要します。さらに、このプロセスには大量の硫酸鉄が必要となります。中国では、硫酸鉄は白色顔料製造の副産物であり、この地域以外では十分な量が確保できません。
そのため、ランクセスは、欧米市場向けの製品ラインナップにおいて、より環境に優しい2つの代替プロセスを採用し、地域で入手可能な原材料をより多く活用しています。そのうちの1つは、すでに小規模ながら確立されています。このプロセスでは、酸化鉄、リン、およびリチウム化合物を反応させてLFPを製造します。もう一つのプロセスは、中国のプロセスと同様にリン酸鉄とリチウム化合物をLFPに変換するものですが、リン酸鉄を鉄とリン酸から直接得る点が異なります。ランクセスは、両プロセスに原料を供給する計画です。
このページでは、ランクセスの提供する、LFPバッテリー材料について詳しくご紹介します。
>> ランクセスの機能性酸化鉄「バイオキサイド(Byoxide®)」についてはこちら(英語サイト)
LFPバッテリーバリューチェーンの構築
ランクセスは、特殊化学品および電池材料分野における信頼できるグローバルメーカーです。ランクセスの主要製品の生産拠点は、欧米地域を中心とし、持続可能なLFPバッテリーの正極材バリューチェーンの構築に貢献します。
酸化鉄およびリン酸鉄のバッテリー向けグレードは、欧米の生産拠点、カスタマイズされたプロセス技術、そして豊富な技術知見に基づいて製造しています。
最新のご紹介ビデオ(英語)もぜひ合わせてご覧ください。
関連リンク
ランクセスの酸化鉄・リン酸鉄バッテリーグレード – 主な特長

- ランクセスは 95年以上の実績をもつ酸化鉄のリーディングメーカーの一社です。
- LFP 用途向けに 電気化学特性を最適化した酸化鉄バイオキサイド(Bayoxide®)を提供
- FEOC コンプライアンス(米国の懸念される外国の事業体規制に対応)した製品を、ドイツおよびブラジルで生産
- 第3者機関により検証済みのライフサイクルアセスメント(LCA)データに裏付けられた低CO2排出量
- 厳格で均一な品質基準 に基づく仕様管理
- ランクセスは欧米における新たなリン酸鉄サプライヤーとなるべく準備を進めています
- 生産能力の増強が進行中
- ドイツで製造されるFEOC準拠の電池グレード
- 欧州HSE基準に準拠した先進的なプロセス技術
ランクセスは、欧州・米国の最新サステナビリティ基準に適合し、地域由来の FEOC コンプライアンス(米国の懸念される外国の事業体規制に対応)原料を活用する 2 種類の LFP 生産プロセス向けに前駆体材料を提供します。
Option 1:酸化鉄+リン+リチウム化合物からの合成プロセス
このプロセスは既に小規模で実績があり、「バイオキサイド®(Bayoxide®)」 酸化鉄バッテリーグレードが実際に使用されています。
Option 2:リン酸鉄+リチウム化合物からの合成プロセス
ランクセスは、鉄とリン酸から直接合成する 「フォスカム(PhosCAM®)」 リン酸鉄 バッテリーグレードの供給を計画しています。
これは、従来の硫酸鉄を原料とした方法よりも 環境負荷の低いサステナブルなプロセス です。
両プロセスについて、当社専門家がニーズに応じたカスタマイズをご支援します。詳細は下記のコンタクトフォームをご利用ください。
信頼できるパートナーをお探しですか?
ランクセスの無機顔料事業部は、欧州で最大級の酸化鉄メーカー として独自の市場ポジションを保有。
- 95年以上の実績
- ドイツ及びブラジルの自社工場から、バッテリー市場へ安定供給が可能。
- 中国以外で生産される酸化鉄の 約70% が ランクセスの生産拠点由来

ランクセスの製品により、バッテリー材料の製造において、より持続可能性を高め、CO2排出量を削減する機会を提供します。
- バッテリー材料の CO₂削減とサステナブルな製造プロセスを実現。
- すべての酸化鉄バッテリーグレードで 検証済ライフサイクル・アセスメント(LCA) データ を提供
- 90%以上のリサイクル原料 を使用した製品あり
- エコバディス サステナビリティ評価で ゴールドを獲得

顧客ニーズに合わせたバッテリー原料の設計・改善に豊富な経験
- 100 年の R&D 実績 に基づくカスタマー向け共同開発
- 高度に整備された研究ラボ による品質調整
- 産業横断の 研究協業 を推進

研究協業とパートナーシップ
欧州向け LFP バッテリー材料の改善

LFP電池材料の開発プロジェクト ICISイノベーションアワード2024を受賞
ランクセスとドイツのバッテリー材料メーカー IBU-tec advanced materials 社は、2024年にLFP 正極材用の酸化鉄開発に向けた研究協業を発表しました。同社とランクセスは、共同開発を通して、LFP バッテリーの性能向上を目指しています。
ランクセスは、この開発製造プロジェクトによって、ICISイノベーションアワード2024を受賞しました。この賞は、LFPバッテリーに関する欧米バリューチェーンの開発における功績が評価されたものです。
詳細はこちら

リサイクルによる循環型経済の実現
ランクセスは、資源の保全と気候保護のため、LFP正極材の原料および使用済みLFP電池の両方において、マテリアル循環に注力しています。例えば、鉄スクラップは、LFP生産用の酸化鉄やリン酸鉄の製造に利用されています。
さらに、ランクセスは大量の使用済みLFPバッテリーのリサイクルを検討するリサイクル構想にも着手しています。この目的のため、パートナー企業と協力し、ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWiK)の資金提供を受けた、LFP正極材のリサイクルを目指すプロジェクトに取り組んでいます。
バッテリーリサイクル工程における破砕処理で発生する「ブラックマス」から、リチウム、鉄、リンなどを回収するための化学プロセスが開発されています。この点において、ランクセスがリンおよび鉄化学分野で持つ後方統合体制が特に強みとなっています。これは、リサイクルされた材料を既存の生産プロセスに組み込むことができるためです。

