ランクセス、2023年度通期の業績を発表 2024年度は収益改善を見込む
- 連結売上高は前年比17.0%減の67億1,400万ユーロ
- 特別項目を除いたEBITDAは、前年比44.9%減の5億1,200万ユーロ
- 当期純利益はポートフォリオ再編により4億4,300万ユーロに増加
- 「FORWARD!」アクションプランによる初期のコスト削減効果
- 純有利子負債の大幅削減とフリーキャッシュフローの改善
- 特殊化学品ポートフォリオにさらに注力
- CEO のマティアス・ツァハトは「景気が回復した時点で、最適なポジションを確保したい」と述べる
ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、2023年度通期の業績を発表しました。
2023年度の連結売上高は、前年比17.0%減の67億1,400万ユーロ(前年:80億8,800万ユーロ)となりました。特別項目を除くEBITDAは、前年比44.9%減の5億1,200 万ユーロ(前年:9億3,000万ユーロ)、特別項目を除くEBITDAマージンは7.6%(前年:11.5%)となりました。
2023年はドイツの化学業界にとって複数の危機が重なった年となりました。 多くの顧客産業および市場における需要低迷と顧客による在庫削減、ドイツのエネルギー価格の高騰、地政学的緊張が重なりました。ランクセスの2023年度の業績もこれらの影響を受けました。しかし、今年度については、緩やかな増益を見込んでいます。
需要の低迷とそれに伴う販売量の減少、さらに(稼働率低下などによる)遊休コストの上昇により、主にスペシャリティアディティブスおよびアドバンスト中間体部門の収益は大幅に減少しました。加えて、これら2つの部門における原材料およびエネルギーの調達価格の低下が販売価格に影響しました。コンシューマープロテクション部門の収益は比較的緩やかな減少にとどまりました。2022年7月始めにIFF社から買収したマイクロビアルコントロール事業が業績に好影響を与えました。
「ドイツの化学業界とランクセスは、これほどまでの危機に見舞われた年を経験したことがありません。しかし、この局面を可能な限り安定的に乗り切り、再び景気が好転したときに最適なポジションを確保できるよう、全力を尽くしています。私たちは、『FORWARD!』アクションプランにより、早い段階で最善の措置を講じることができました」とランクセスCEOであるマティアス・ツァハトは述べています。
2023年度の純利益は4億4,300万ユーロとなり、前年度の2億5,000万ユーロを大幅に上回りました。これは主に、アドベント・インターナショナル社との合弁会社であるEnvalior設立により得た収入によるものです。継続事業の当期純利益は8億4,300万ユーロの損失となり、前年同期の1億8,400万ユーロから大幅に減少しました。減益の主な要因は、営業利益の悪化と買収によるのれん代の減損によるものです。
ランクセスは、少なくとも2024年上半期は厳しい環境が続くと予想しています。そのため、2024年第1四半期は、2023年第4四半期から大きな改善は見られず、特別項目を除いたEBITDAは最大1億ユーロになる見込みです。第2四半期以降は、販売量の緩やかな増加を見込んでいます。「農薬業界を除き、顧客の在庫削減はほぼ一巡したと見ています。さらに、当社のアクションプラン『FORWARD!』による長期的なコスト削減も見込んでいます」と、ツァハトは述べています。2024年度通期のランクセスのEBITDAは、2023年度通期をやや上回ると予測しています。「しかしながら、収益は前年度の平均水準を大幅に下回るでしょう。そのため、2024年度は、ポジショニングの強化とプロセス改善に引き続き取り組み、財務基盤を強化していきます」と、ツァハトは述べています。
純有利子負債を削減し、フリーキャッシュフローを改善
ランクセスの2023年度の純有利子負債は38億1,400万ユーロから24億9,800万ユーロに減少しました。これは主に、Envaliorの設立に伴う売却益によるものです。さらに、純運転資本の削減による資本コストの低減が寄与しました。この結果、フリーキャッシュフローも大幅に改善しました。前年度の2億2,000万ユーロのマイナスから、2023年度には5億2,600万ユーロとなりました。
「FORWARD!」アクションプランによる初期のコスト削減
ランクセスは、2023年年央に発表した「FORWARD!」アクションプランにより、景気後退への対策を講じています。これには、一時的及び短期的なコスト削減が含まれ、コスト削減と投資削減により、2023年はすでに1億ユーロの確保を実現しています。また、これにはグループの再編による効率的なポジショニングが含まれます。ランクセスは組織再編により、2025年以降は永続的に年間コストを約1億5,000万ユーロ削減する計画です。再編には870人の人員削減が含まれており、そのうち460人はドイツでの削減となります。大半の人員削減については、すでに手続きが完了しています。
0.10ユーロの配当を提案
業績不振および純有利子負債をさらに削減するため、ランクセスグループは今年度の配当金を減額する計画で す。そのため、取締役会および監査役会は、2024年5月24日に開催される年次株主総会において、2023会計年度の1株当たり配当金を0.10ユーロ(2022年度は1.05ユーロ)とすることを提案する予定です。この提案は、総額約860万ユーロの配当に相当します。
特殊化学品ポートフォリオにさらに注力
2023年、ランクセスは、特殊化学品へのポートフォリオの注力を引き続き強化しました。グループは、2023年4月1日付で、ハイパフォーマンスマテリアルズ・ビジネスユニットを、プライベートエクイティ投資会社アドベント・インターナショナルとの合弁会社であるEnvaliorに移管しました。また、年末には、ランクセスのポートフォリオに残る最後のポリマー事業であるウレタンシステムズ・ビジネスユニットの売却方針を決定しました。同ビジネスユニットは世界に6つの生産拠点を持ち、約400人の従業員を擁しています。ランクセスは、同ビジネスユニットの売却資金をさらなる債務削減に充当する計画です。
セグメント別業績
コンシューマープロテクション部門の2023年度の売上高は、前年度の23億6,600万ユーロをわずかに1.1%下回る23億4,000万ユーロとなりました。同セグメントは、特に2022年7月にIFF社からマイクロビアルコントロール(微生物制御)事業を買収したことによる恩恵を受けました。一方、様々な市場からの需要の低迷と顧客による継続的な在庫削減により、販売量は減少しました。特別項目を除いたEBITDAは前年の3億6,300万ユーロから14.6%減の3億1,000万ユーロとなりました。特別項目を除いたEBITDAマージンは前年の15.3%から13.2%に低下しました。
建設業界およびエレクトロニクス業界の需要低迷により、スペシャリティアディティブス部門の売上高は前年の29億7,000万ユーロから21.7%減の23億2,500万ユーロとなりました。特別項目を除くEBITDAは前年の4億7,900万ユーロから56.4%減の2億900万ユーロとなりました。特別項目を除くEBITDAマージンは前年の16.1%から9.0%になりました。
特に建設・化学業界における顧客の在庫削減による販売量の減少は、アドバンスト中間体部門にマイナスの影響を与えました。2023年度の売上高は、前年の24億1,300万ユーロから26.4%減の17億7,500万ユーロとなりました。特別項目を除くEBITDAは1億2,100万ユーロと、前年の2億9,100万ユーロから58.4%減となりました。特別項目を除くEBITDAマージンは6.8%(前年度12.1%)になりました。
ランクセスについて:
ランクセスは、世界32カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2023年の総売上は67億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 12,800人です。主な事業は、中間体、添加剤、コンシューマープロテクション製品の開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)及びヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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